図書館で『ソフィーの世界』を見つけたので借りて読んだ。20代のころ買って読んだはずが、ほぼ記憶になくて驚く。
ソクラテス以前からの哲学の歴史を対話形式で教えてくれて、展開される物語はファンタジックなミステリーというかミステリアスなファンタジーというか、そんなお話。
わんさか出てくる哲学者の思想が、今読むとすごくわかりやすいというか、これまで自分が見たり聞いたりしたこと、体験したこと、自分の中に蓄積されたものが、先人の多様な思想によって違うかたちになってあぶり出されて来るような、不思議な感覚だった。
生きていく中で、自分とは何か、人生とは何か、ずっと問い続けていたと思う。
答えを見つけることが自分にとって大事なのじゃなかった。問いを立てることがすでに生きている喜びなのかもしれないと思う。
どこかに到達することが大事なのじゃなくて、道のりをよろこんで生きること。。
知識を得ることは、純粋な視点を失うことだと思っていた。
子どものころアスファルトに人参が埋まっている、不思議だなあと思っていたけど、実は人参じゃなくて金属鋲という地面の目印だと、大人になってから知った。
知ってしまったあとはもう人参には見えない。知らなかったら人参だと信じたままだったかもしれない。でも知ったからこそ、知らなかったときのことを「知らなかった」と認識して、「人参だと思っている自分」を振り返って見つめることができる。前後のコントラストを味わえる。
世界は知り尽くせないほど広い。いわんや宇宙をや。知り尽くせないことを日々知っていく楽しみ、それが尽きない幸せ。
ソフィーとアルベルトに、ヨースタイン・ゴルデル氏に、宇宙をめぐるエネルギーに、受け取った自分に、ありがとうと感謝したい。